一橋大学法科大学院の特色

一橋大学法科大学院は以下の3つの資質
を兼ね備えた法曹を養成することを目指しています。
(1) ビジネス法務に精通した法曹
(2) 国際的な視野をもった法曹
(3) 人権感覚に富んだ法曹

上記の理念を実現するために
次のようなものが設けられてます。
(以下一橋大学法科大学院HPより抜粋)

一橋大学国際企業戦略研究科の協力を得て、
ビジネスロー・コースを3年次に設けています。
このコースは、
特に企業・ビジネス法務に関心の強い学生を対象
に設けられたもので、
実践ビジネスローなど、
高度な専門知識の習得を目的にしたものです。
履修は学生の選択に委ねられており、
週に1日、神田キャンパスで最新のビジネス現場
を踏まえた実践的なカリキュラムによる
授業が行われます。

比較法制度論、外国法文献読解、外国法科目など
国際的視野を養う科目を設けます。
また、母国の弁護士資格を持つオーストラリア人や、
日本商社のイギリス現地法人で法務関係や経営
を経験した人材を専任教員に登用。
国際社会が求めるリーガルマインドや実務的な法
のあり方を学びます。
また、総合法政策実務提携センター外国人客員教授
から教育上の協力・参加を得ます。

人権理論に関する憲法特論(憲法・人権理論)
と人権実践に関するリーガルクリニック
(人権クリニック)などの科目を設け、
21世紀社会における人権とは何かを、
実社会や実務と現行法の関連の中で学んで行きます。

一橋大学法科大学院

一橋大学法科大学院の特徴

一橋大学法科大学院は
豊かな教養と市民的公共性を備え、
市民的法社会の充実に努める法曹を育成。

一橋大学法科大学院では、
豊かな教養と市民的公共性を備えた構想力
のある専門人として、
よりよき市民的法社会の充実に努める法曹の育成
を目指しています。

一橋大学法科大学院は
「ビジネス法務に精通した法曹」、
「国際的な視野をもった法曹」、
「人権感覚に富んだ法曹」の3つの資質
を兼ね備えた法曹を養成することを目標としています。

マーキュリータワーは、
コンピューターネットワーク環境を整備して、
法廷教室、資料室、自習室など多彩な機能
が集約された最新の研究教育棟です


柔軟性のある法的思考力を養う
双方向教育と少人数授業


一橋大学法科大学院は
法曹に必要な柔軟性のある法的思考力を養うため、
授業ではもちろん、
課題提出したレポートなども添削するなど、
双方向的な教育を行っています。

一橋大学法科大学院は
少人数単位の授業を中心とし、
1年次の導入ゼミは15名で編成しています。
その他の必修科目のクラスは1年次では
30名、2・3年次では50名としていますが、
3年次の発展ゼミは、
さらに少人数を単位として行っています。
他に先駆けて少人数ゼミナール制度を取り入れた
本学の特長を法科大学院でも受け継ぎ、
実践しています。


教育理念を実現する多彩なカリキュラム

一橋大学法科大学院は
3つの資質を兼ね備えた法曹の養成
という教育理念を実現するカリキュラム
と授業科目を用意しています。

一橋大学法科大学院は
本学国際企業戦略研究科と最前線で活躍する
多くの実務家の協力により、
「ビジネスロー・コース」を3年次に設けました。
このコースでは、企業・ビジネス法務を
特に希望する学生を対象とし、
実践ビジネスローなど高度な専門知識を
習得していきます。
週に1日、神田キャンパスで
最新のビジネスの現場を踏まえた実践的な授業
を行っています。

一橋大学法科大学院は
国際的な視野を養うため、
比較法制度論、外国法文献読解などの科目
を設けています。
専任教員には、母国の弁護士資格を持つ
オーストラリア人をはじめ、
日本の商社のイギリス現地法人で法務を担当し
イギリスのソリシター資格を持つ人材を登用し、
国際社会が求める法的素養や実務的な法のあり方
を学べます。
日本法国際研究教育センターの外国人客員教授
から教育面での協力も得ています。

一橋大学法科大学院は
人権理論に関する憲法特論(憲法・人権理論)と
人権実践に関するリーガル・クリニック
(人権クリニック)などの科目を設け、
21世紀社会における人権のあり方について、
実社会や実務と現行法の関連を踏まえて学んでいきます。


充実した施設と学習環境

一橋大学法科大学院は
法科大学院のあるマーキュリータワーは、
多様な機能が集約された最新の研究教育棟です。

一橋大学法科大学院は
自由に使える自習スペースを確保し、
コンピューター環境も充実しています。
資料室は、法律と法学に関する刊行物や判例集など
を収蔵し、インターネットによる検索や調査も可能です。

一橋大学法科大学院は
実際の法廷と同様に作られた法廷教室では、
学生が裁判官、検察官、弁護士などの役割
を務めながら模擬裁判を行います。
このほかにもラウンジや多目的ホールなどもあり、
最高の環境で勉学に集中できる充実した施設
を整備しています。

一橋大学法科大学院カリキュラム

法律基本科目群
○公法系
憲法Ⅰ・Ⅱ
公法演習Ⅰ・Ⅱ
行政法Ⅰ・Ⅱ
○民事系
民法Ⅰ~Ⅳ
民事訴訟法
民事法演習Ⅰ~Ⅲ
企業法演習Ⅰ・Ⅱ
会社法
商法総則・商行為・手形小切手
民事判例研究
○刑事系
刑法Ⅰ・Ⅱ
刑事法演習Ⅰ・Ⅱ
刑事訴訟法
○その他
導入ゼミ
問題解決実践

法務実務基礎科目
民事法務基礎、刑事実務概論、
模擬裁判(民事・刑事)、
法曹倫理Ⅰ・Ⅱ、民事裁判基礎Ⅰ・Ⅱ、
公法実務基礎、夏期特別研修

基礎法学・隣接科目
比較法制度論、法哲学、法社会学、
比較法文化論、西洋法制史、日本法制史、
アジア法、英米法、法律英語、外国法文献読解、
証券取引法、法と心理学、法と経済学

展開・先端科目
憲法特論、租税法Ⅰ・Ⅱ、
知的財産法Ⅰ・Ⅱ、
信託法、民事執行法、
労働法Ⅰ・Ⅱ、
独占禁止法Ⅰ・Ⅱ、
刑事証拠法、比較刑事司法、
国際法、環境法、
倒産処理法 Ⅰ・Ⅱ、
消費者法、社会保障法、情報法、
国際人権法、国際私法、国際民事訴訟法、
国際取引法、国際経済法、EU法、
国際制度論、国際関係学、法と公共政策

複数系科目
発展ゼミⅠ・Ⅱ、
法学研究基礎

法化大学院

法科大学院(ほうかだいがくいん)は、
法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とする
日本の専門職大学院。
修了すると、新司法試験の受験資格と
「法務博士(専門職)」の専門職学位が与えられる。
アメリカ合衆国のロー・スクールを輸入した制度
であることから「ロー・スクール」と通称される。

◎概要
法科大学院は
「専門職大学院であって、法曹に必要な学識及び能力
を培うことを目的とするもの」をいうと定められている
(法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する
法律第2条第1項)。
法科大学院の制度は、2004年(平成16年)4月に創設された。
法科大学院の課程の標準修業年限は、3年である。
ただし、入学試験で各法科大学院で法学既修者の水準にある
と認められた場合、2年とすることもできる
(専門職大学院設置基準)。
一般に、3年の課程を未修(法学未習者課程)、
2年の課程を既修(法学既習者課程)という。
修了要件は、93単位以上の単位の修得である
(専門職大学院設置基準)。
修了者は、新司法試験の受験資格及び
「法務博士(専門職)」の専門職学位を取得する(学位規則)。
なお、法科大学院の標準修業年限と、
その他の専門職大学院の標準修業年限が異なるため、
「法務博士(専門職)」は通常の博士の学位とは異なるが、
「修士(専門職)」の学位とも異なるものと考えられている。
法科大学院修了者は、
5年以内に3回まで新司法試験を受験することができる。
この受験制限は、旧司法試験制度になかった。
3回のうちの新司法試験に合格しなかった場合には、
再度新司法試験を受験するためには、
再度法科大学院に入学し修了するか、
司法試験予備試験に合格して別途の受験資格を充足する必要
がある(司法試験法第4条)。
平成23年(2011年)から実施される予備試験
(法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する
法律附則第9条)に合格した者は、
法科大学院修了者と同等の資格で新司法試験を受験すること
ができる。
予備試験合格者についても上記受験制限が同様に課せられる。

◎導入の経緯
法科大学院は、
法曹の質を維持しつつ、法曹人口拡大の要請に応えるため
の新しい法曹養成制度として導入された。
従来の司法試験において、受験生は、
いわゆる司法試験予備校に依存し、
受験技術を優先した勉強により合格することが増えたといわれる。
こうした合格者の増加が法曹の質的低下につながるとの分析
に基づき、また、従来の大学における法学教育よりも法曹養成
に特化した教育を行うことで将来の法曹需要増大に対し
量的質的に十分な法曹を確保するという目的の下、
法科大学院制度は導入された。

◎法科大学院課程の法的基準
具体的には、専門職大学院設置基準
(平成15年文部科学省令第16号)に規定されている。
それによれば、標準修業年限は3年(18条2項)であるが、
法科大学院において必要とされる法学の基礎的な学識を有すると
認める者(法学既修者)に関しては、
修業年限を2年とすることができ、
単位についても30単位を超えない範囲で法科大学院が認める単位
を修得したものとみなすことができることができると
規定されている(25条)。
必要単位数については93単位以上とされている。
さらに、細目については
専門職大学院設置基準第5条第1項等の規定に基づく専門職大学院
に関し必要な事項(文部科学省告示第53号)に規定されている。
それによれば、実務家教員はおおむね2割以上(2条3項)
が要求され、他学部出身者や社会人の入学者が3割以上となる
よう努めるものとされている(3条1項)。
法科大学院においては、
法律基本科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、
刑事訴訟法に関する分野の科目)、
法律実務基礎科目(法曹としての技能及び責任その他の法律実務
に関する基礎的な分野の科目)、基礎法学・隣接科目
(基礎法学に関する分野又は法学と関連を有する分野の科目)、
展開・先端科目(先端的な法領域に関する科目その他の実定法
に関する多様な分野の科目)を設けることとされている(5条)。
さらに、法律基本科目においては、
50人を標準として授業を行うこと(6条)が規定され、
年間登録単位の上限が1年につき36単位を標準として定めるもの
とされている(7条)。

◎入学試験

入学試験は、共通試験としての法科大学院適性試験と、
大学院ごとの個別試験からなる。
法科大学院適性試験は法的思考の適性を見る試験であり、
法科大学院志願者に受験が義務付けられている。
法科大学院適性試験は、
独立行政法人大学入試センター実施の試験
と財団法人日弁連法務研究財団が実施する試験
(社団法人商事法務研究会が協力)があり、
いずれの試験を利用するかは各大学院が決定する。
各大学院の試験は2年制の法学既修者コースと
3年制の法学未修者コースの試験で別々に2回実施するところと、
まとめて実施したのちに法学既修者認定試験を課すところがある。
多くの大学院では、
適性試験の成績証明書、志望理由書、学部の成績証明書
(大学院によっては外国語試験の成績)の提出
を義務付けるとともに、
任意提出書類として推薦書等を指定している。
法学未修者コースにおいては、
小論文による筆記試験、法学既修者コースでは法律科目試験
が課されるのが一般的である。
さらに、多くの大学院では面接も課している。
これらの資料によって総合的に判断して合否を決めるとされ、
推薦入試等は一切行われない。


◎制度導入に至る問題点

・予備校教育に対する批判
法科大学院制度は、
司法試験予備校の弊害を指摘して導入された。
しかし、司法制度改革審議会会長(当時)の
佐藤幸治教授は平成13年6月20日の衆議院法務委員会
において、受験予備校等の実態についてどれほど調べたのか、
との委員からの問いに対し、
「(予備校が)実際にどういう実情にあるかというのは、
私はつまびらかにはしませんけれども、
私の関係した学生やいろいろなものを通じて、
どういう教育の仕方になっておってどうかということは、
ある程度は私個人としては承知しているつもりであります。」
と答弁した。
質問した委員は
「つまり、十分に御存じになっていなくてこういう結論
を出しているわけですよ」として、
司法試験予備校の弊害を客観的に検証したのかについて
疑問を呈している。
同様の疑問は、財団法人日弁連法務研究財団が開催した
「次世代法曹教育の調査研究とフォーラム」
において若手弁護士からも示されている。

・法学部教育に関する批判
上記「次世代法曹教育の調査研究とフォーラム」
においては、司法研修所教官経験者から、
「大学は司法試験予備校に教育において負けた」が、
「その点を大学人は見ようとしないし認めようとしない、
そこに大きな問題がある」との指摘がなされた。

・ 制度自体の問題点
入学者数と合格率
法科大学院導入が決定された当初、
新司法試験の合格者は、修了者の7~8割になる
と言われていた。
これは、司法試験制度改革審議会意見書において
「法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当程度
(例えば約7~8割)の者が新司法試験に合格できるよう、
充実した教育を行うべきである。」との意見が盛り込まれた
ことに基づく。

司法制度改革審議会の議論では、
各大学の要望として「7割とか8割ということが多い」が、
「どの大学も7割、8割ということは制度設計としてはあり得ない」
と認識されている。

法科大学院の定員と新司法試験の合格者数から単純計算しても、
そのような高い合格率にならないことは明白であった。
合格率が5割を下回るのは明らかであるし、
不合格となっても3回まで受験できることを考えると
2割を下回るとする試算もある。
このような新司法試験の合格率の試算などから、
「才能ある人材を引き付けるには余りにもリスクが大きく、
新たな法曹養成制度の中核と位置付けられた法科大学院制度
を崩壊させかねない」との声明が法科大学院関係者有志
(教授代表者等)からなされた。
なお、2006年(平成18年)に行われた第1回の新司法試験の合格率
は、48.35%、2007年の第2回の合格率は、40.18%だった。
当初喧伝された合格率を見込んで、
企業を退職して司法試験にかける社会人入学生も少なくなかった
ため、合格率が想定より低い現状は、
こうした社会人学生の間に人生設計そのものへの不安を広げている。

・法科大学院の教育能力
法科大学院は、
旧司法試験合格者の輩出がない又は極端に少ない大学にも
設置されている。

・法科大学院にかかるコスト
法科大学院の学費は高額なため、
経済的事情により進学の機会平等が阻害される危険がある。
なお、審議委員の一人は「これからの時代の高等教育制度の下で、
経済的事情で、例えば大学あるいは大学院に進学できない
という状況に追い込まれる人というのは、
そんなにたくさんいるんだろうかと考えると、
まず社会的な発展段階から考えてそんなにいるはずがない。」
と指摘した。

・法曹資格取得期間までの長期化
旧司法試験による法曹養成システムと比較しても、
法科大学院の期間について、
法曹資格を取得するまでの年限が長くなっていることから、
資格取得期間の短縮を求める意見が日本経団連
などから提示されている。

・法曹需要増大の真偽
新司法試験合格者数は、
2010年頃に3,000人になることが予定されている。
しかし、文部科学省・大学は、法科大学院卒業生の
新司法試験合格率を高くするため、
新司法試験合格者数をさらに9,000人まで増加させるよう
主張している。
この点について、実社会において法曹がどの程度の需要があるのか
という具体的な議論や検証が十分に行われていないとの批判がある。
なお、2006年12月1日現在での弁護士会登録人数は
23,000名余りに過ぎないが、
司法書士等の隣接法律関連資格者数も比較の対象に含めるべき
との意見も根強い。欧米諸国では司法書士等にあたる資格は存在せず、
もっぱら弁護士が担当する業務分野であることが多いからである。

・法務博士という学位名
日本の法科大学院の課程を修了すれば
「法務博士(専門職)」の学位が得られる。
これは米国のJDをそのまま訳したものである。

・法科大学院の都市部集中
「過疎地への法曹の供給」ということが、
この法科大学院の理念の1つであったはずであるが、
実際は関東圏・関西圏に法科大学院が集中している。
これは当初の理念を歪めかねないものである。
しかし、人口の多いところに教育機関が多く
設置されるのは当然予想されたことではある。

・法科大学院の定員割れ
2005年度入試においては入学者が定員割れとなる大学院
が散見された。
応募人数は募集定員を上回っている。

・アメリカの制度との比較
アメリカにおいてはロースクールの修了後
(司法試験は各州毎に行われ、ばらつきはあるものの)
概ね7割程度の合格率[8]が確保される。
それに対し、日本では法科大学院の課程を修了した者の半数以上
が司法試験に合格できないシステムとなっている。
アメリカでは学部段階に法学部が存在せず、
法学教育は専門職大学院であるロースクールのみで行われている。
これに対して、日本の法科大学院に進学する者は
学部段階で法学部を卒業している者が大半
(入学者全体の73.9%(平成19年度)・71.7%(平成18年度))
であり、日本の制度では、法学部で学んだことを前提とすると、
学部段階で4年間、法科大学院で2年から3年間、
司法研修所で1年間の教育を受けて、
初めて法曹となれる制度となっており、
アメリカにおける一般的な法曹養成コースであるJD取得過程の期間
が3年間であることに比べると長い。

新司法試験

新司法試験(しんしほうしけん)は、
日本における法曹資格付与のための試験の1つであり、
平成14年改正(法律第138号)後の
司法試験法に基づいて行われる資格試験。
同法改正附則6条2項にて、
同法による改正後の司法試験法の規定による司法試験
を新司法試験と定義しており、本項でもその用法に従う。

新司法試験は平成18年度から開始され、
平成18年から平成23年までの制度移行期(移行期間)
においては新司法試験と
従来の制度による司法試験(旧司法試験)
とが併存している。
本項では、
移行期間における新司法試験についての説明を中心に行う。
旧司法試験については、旧司法試験の項を参照。
なお、司法試験の移行期間においては、
原則として新司法試験か旧司法試験のどちらか一方
を選択して受けなければならない。

新司法試験に合格した者は、
司法修習を行い(最高裁判所により司法修習生
に採用されることが必要)、
さらに司法修習の最後にある司法修習生考試
(いわゆる二回試験)を通過することで
法曹(裁判官、検察官、弁護士)になることができる。

◎受験資格
移行期間においては、
新司法試験を受験するためには、
法科大学院課程を修了することが必須条件である。
すなわち法科大学院を修了した者は、
その修了日後の5年度内に3回の範囲内で
新司法試験を受験することができる。
移行期間終了後は旧司法試験が廃止され、
法科大学院を修了していない者は
予備試験を受験して新司法試験の受験資格を得ることになる。

3回の受験制限規定においては、
法科大学院修了前2年間の旧司法試験の受験
についてもカウント対象となる。

◎新司法試験の制度の概要

新司法試験は、
短答式による筆記試験(短答式試験)
及び論文式による筆記試験(論文式試験)から構成される。
旧司法試験とは異なり口述試験は廃止されている。

<短答式試験>
短答式試験は、
法曹となろうとする者に必要な専門的な
法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうか
を判定するために行われる試験であり、
5月中旬に行われる試験の初日に行われる。

旧司法試験とは異なり、
絶対的評価(各科目とも満点の40%以上が必要で、
総合で満点の60%以上が必要)により
短答式試験の合否が決せられる。

後述の通り論文式試験は短答式試験の翌日以降
に行われることから、
短答式試験の合否は論文式試験開始の時点では
明らかにならない。
そのため、新司法試験の受験者は全員論文式試験
も受験するが、
短答式試験に不合格の者については論文式試験の採点はされない。

マークシートを用いて行われる試験である点、
試験中の参照物は認められない点は旧司法試験とは変わりがない。

科目 合計350点
1. 公法系科目(憲法及び行政法)90分 100点 50問程度
2. 民事系科目(民法、商法[1]及び民事訴訟法)150分 150点 75問程度
3. 刑事系科目(刑法及び刑事訴訟法) 90分 100点 40問ないし50問程度

<論文式試験>
論文式試験は、
法曹となろうとする者に必要な専門的学識
並びに法的な分析、構成及び論述の能力
を有するかどうかを判定するために
行われる試験である。
日程は、5月下旬の3日間
(短答式試験の翌日・3日後・4日後)である。

2日日
選択科目(3時間、2問、計100点満点)
公法系科目(4時間、2問、計200点満点)
3日目
民事系科目第1問(2時間、100点満点)
民事系科目第2問(4時間、200点満点)
4日目
刑事系科目(4時間、2問、計200点満点)
の時間割で、文章にて解答する形式で行われる。

選択科目は、
1. 倒産法
2. 租税法
3. 経済法
4. 知的財産法
5. 労働法
6. 環境法
7. 国際関係法(公法系)
(国際法(国際公法)、国際人権法及び国際経済法)
8. 国際関係法(私法系)
(国際私法、国際取引法及び国際民事手続法)
の8科目から1科目を選択する[2]。
法律上の論点を含む比較的長めの事例
(何ページかにわたる資料が付いている場合もある。)
が与えられ、
それに対する法的判断を問われるものが中心である。
参照物として、
「新司法試験用法文」とよばれる最小限の条文のみ
が記載された小型六法が貸与される。
論文式試験においても最低必要点が設定されており、
1科目でも満点の25%に満たない場合には不合格となる。

問題の難易度は、まだ確かな傾向が定まっていないため評価が難しい。

<合格判定>
短答式試験の合格者の中から論文式試験のみ
で不合格となった者を除外した上で、
短答式試験の成績と論文式試験の成績を総合評価
して合格者を決定する。

短答式試験と論文式試験の比重は1:4とし、
判定に当たっては論文式の素点に1.75倍したもの
に短答式の素点を加算して判定する。

<合格発表以降>
合格発表は、9月になされる。
合格者は、司法修習生に採用された後、
11月より1か月程度の導入研修(実務修習前集合研修)
を受ける。
導入研修終了後、約10か月間の実務修習を受ける。
このうち8か月間は、
民事裁判修習、刑事裁判修習、検察修習、弁護修習
にあてられる。
残りの2か月間は、
選択型実務修習として、司法修習生各人の希望
を踏まえ、総合的な法曹実務を修習することとなる。
その後2か月間、
最高裁判所付属の司法研修所(埼玉県和光市)
で集合研修を受け、
裁判所法67条1項の試験を受けこれに合格すれば
法曹となる資格を得る。

<司法試験予備試験>
旧司法試験の廃止に伴って、
2011年以降に実施される予定の試験。
法科大学院を修了せず新司法試験を受験する
には予備試験の受験が必要。
受験制限は無く、
旧司法試験と同じく短答・論文・口述の3種を受験する。
合格すると新司法試験の受験資格を得られる。
法科大学院修了者と同じく、
3回の不合格もしくは5年間で受験資格は失われる。

科目は
短答式が憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、
刑法、刑事訴訟法、一般教育科目の8科目、
論文式が憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、
刑法、刑事訴訟法、一般教育科目、
法律実務基礎科目の9科目、
口述が法律実務基礎科目。

公明党などからは
「バイパスを設けるのは法科大学院を設置した意味
がなくなる」と廃止の声も上がっている。